鎌倉のさくら 200796
再販にあたって 鎌倉桜 別名・御車返しー桐ヶ谷・普賢象堂桜
春を迎えると鎌倉(旧市域)の南の海を囲む三方の山稜には桜が紅を差し薄桜色、そして濃い色もみられてくる。まさに古代からの情景である。
鎌倉の桜は従来からのヤマザクラの他、オオシマザクラもまざっていたが、各地からの桜を集め、初代将軍 源頼朝(一一四七〜一一九九)が、父の義朝(一一二三〜一一六〇)の奉徳のため県立下勝長寿院をはじめ、奥州での戦乱の死者を弔った永福寺(二階堂)や鶴岡八幡宮に植えた。更に三代将軍 源実朝(一一九二〜一二一九)は積極的に歌会などの文化的行事のために桜を用いた。
そして『万葉集』の植物で梅一一八首に桜四四首。『古今和歌集』の梅一八首、桜七〇首の記載に対して、実朝が編んだ『金槐和歌集』では多数の桜の歌がみられる。
源氏の時代の過ぎた後も、桜の遺伝子は山を離れて、近隣地、材木座の桐ヶ谷で生まれた桜を、その後室町幕府を京都につくった足利尊氏将軍(一三〇五〜一三五八)は、きらびたかな京都の文化に、東国の土産として鎌倉生まれのこの桐ヶ谷桜を運んだ。そして京都御所の左近の桜になった。それに更に普賢象堂桜も加わった。これは、京都で鎌倉桜と言われたそうだ。
それらは桐ヶ谷に近い、中国貿易、文化の移入のため築いた和賀江嶋(国史跡)から運ばれていった。
桐ヶ谷は海から入った谷戸である。文化集積地の東国鎌倉と、西国の文化の交流の一コマである。
その桜は江戸時代初期の後水尾天皇(一五九六〜一六八〇)が京の街を巡った時、素晴らしい桜を見掛けたので車を返したという物語のある御車返し(みくるまがえし)という別名を持っている。そして当時の名桜にも記録されている。(二〇一二年 日本桜学会・報告 本書53頁参照)
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