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俊介とおばあちゃんの竜天山 200619

1,320円(本体1,200円、税120円)

定価 1,320円(本体1,200円、税120円)

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鈴の音童話 
発行:2012年7月21日
著者:中村 千鶴子 
板絵:有賀 忍
判型:A5  ページ数:132
出版元:銀の鈴社
978-4-87786-619-8 C8093

◆もくじ◆
1 あきおばあちゃん 俊介の家にくる
2 おばあちゃんが へん!
3 あきおばあちゃん なごみの家にはいる
4 俊介ひとりで なごみの家に行く
5 ガキ大将だった あきおばあちゃん
6 俊介 あきちゃんと竜天山で遊ぶ
7 ママの妹 優子おばさん
8 雑木林のなかで
9 なごみの家 立ち上がる
あとがき

パパとママ、5年生の琴美おねえちゃんとマンションで暮らす俊介は2年生。
一人着らしの田舎のおばあちゃんが怪我をして、一緒に暮らすことになったところから物語が始まります。
山もなく自然に乏しい街中の暮らしで、おばあちゃんは頑なに殻にこもるようになってしまいます。
やがて少し離れた大きな林の奥にある<なごみの家>という施設へ入ることになったおばあちゃん。
訪れた俊介や、幼馴染のとみちゃん等との交流から、前を向き始めるあきおばあちゃん。

できなくなったことを数えて嘆くより、できることを見つけて始めてみよう。

なごみの家の仲間にも呼びかけて、止まっていた時間が動き始めます。

核族化で、年をとっていくこと、その過程を身近に知らない子どもたちが、年をとって弱った老人を受け止めることの現実。
それは、大人も同じです。
年老いたおばあちゃんにも、溌溂とした子ども時代があったんだという発見。
圧巻は、竜天山となった林で繰り広げられる俊介とおばあちゃんとの世界。

板絵画家の有賀忍さんの伸び伸びとした世界が、豊かな自然を彷彿とさせてくれます。
有賀忍さんは、かつてNHKの「おかあさんといっしょ」の<こんなこいるかな?>のキャラクターでも有名ですが、本来は板絵画家。
木肌のぬくもりをいかしたあたたかな世界で、物語を彩ります。

老いた己への歯痒さに頑なになる孤独な老人と、空想力と純粋な優しさをもつ少年を深く結びつけたのは、大きな木が生い茂る、竜天山のような林でした。

子どもはもちろんですが、加齢を感じはじめた大人や、老いを前に無力感に苛まれている方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。
西野真由美

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