すずめの木笛 200730
◆もくじ◆
一 精米所ごっこ
二 特大、黒いにぎりめし
三 兵隊さんがいなくなった
四 チョコレート
五 頭じらみ
六 DDT
七 給食
八 思わぬできごと
九 お祭り
あとがき
渡邊るり子さんの2作目『すずめの木笛』ができました。
初恋とは気づかないほどの淡い恋。
第2次世界大戦の終戦前後を舞台とした、昭和の「たけくらべ」ともいえる、ほのかな恋のものがたりです。
山中冬児先生の描く、恥じらいのある少女の表紙も印象的です。
自然を相手に遊ぶ日々。
川原の土手近くにある大きな椎の木。
その枝打ちされていくつもできた大きなこぶと、川原の砂をつかう精米所ごっこ。
食事係の兵隊さんがわけてくれた、特大黒いにぎりめし。
兵隊さんは、主人公ふみ子や由純(よしずみ)と同い年くらいの子どもを故郷へのこしてきているという。
終戦前後の子どもの世界。
初めて異性を意識し始める芽生えの季節が、戦争による食糧難や豊かな自然、村のお祭りを通して、静かに描出された作品。
処女作『友ちゃんと砂糖、そして・・・』同様、著者の実体験に基づく本書は、いぶし銀の真実がしっかり詰まった一冊です。
西野真由美
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