さくらの学校-ほんとうにあった昭和のものがたり- 210180
発行日:2025年7月25日
著:古川 奈美子
絵:内山 つとむ
出版社:銀の鈴社
判型:A5
ページ数:128
ISBN:978-4-86618-180-6 C8093
北国の小さな村にある 「さくらの学校」 を舞台にしたものがたり。
戦後という時代背景の中で、子どもたちがどのように
生き抜いたかを静かに語りかけています。
もくじ
1.プロローグ 春
2.十五年戦争が残した傷あと
3.オナゴ先生が来るんだど!!
4.さくらまつり
5.さくらの学校
6.野ウサギたちの反乱
7.奥の手
8.家庭訪問
9.ケンカ
10.厳しい春が
11.エピローグ
【プロフィール】
著者 古川奈美子(ふるかわ なみこ)
東京に生まれる。小学校卒業の後、山形へ疎開。
山形大学卒業後、山形の小中学校の教諭となる。
その後東京にもどり、1959年から8年間、参議院議員 奥むめお氏の秘書を務めた。
1994年 荒川、隅田川の旧岩淵水門 誕生70周年記念のミュージカル「赤い水門賛歌」の公募に入選。
これを機に、子どもの本に親しみ持ち、以後、介護、子育てをしながら、「絵本の読み聞かせ」「手作り絵本」「おりがみ教室」などで地域活動。
著書に『奥むめおものがたり 女性解放への厳しい道を歩んだ人』(銀の鈴社 ジュニア・ノンフィクションシリーズ)
絵 内山つとむ(うちやま つとむ)
洋画家。本名 懋
1940年生まれ。東京藝術大学油画科大学院修了。
仏政府給費生としてパリ、エコール・デ・ボザールに2年滞在。
以後毎年新作発表を続け今に至る。
山口 薫に師事。
感想文
(Y.Kさん)
忘れてはならない戦争、戦後の人々の暮らしや生きた道が、作者の教師時代の子どもたちとの思い出を軸に語られている。
子どもたちと“はだかのつきあい”で過ごした月日のことが、感じられたままに生の言葉で伝えられ、そのやりとりに心が熱くなる想いがした。
特に新米教師のがんばりが、子どもたちに響いていく様子に心打たれた。
(K.Y)
北国の小さな村にある「さくらの学校」を舞台にしたものがたりは、戦後という時代背景の中で、人々がどのように生き抜いたかを静かに語りかけています。「野ウサギたち」と呼ばれる子どもたちと向き合う若い教師の姿が特に印象的で、先生の熱意と優しさに、子どもたちが少しずつ変わっていく様子に胸を打たれました。
教師と子どもたちの絆を通して、思いやりや言葉の力の大切さを改めて感じました。
また、戦争の影が暮らしに深く残っている様子から、その悲惨さについても考えさせられました。このものがたりは、今を生きる私たちにも大切な気づきを与えてくれます。
(M.Y)
「戦争が始まるとき、先生が最初に嘘をつく」といいます。戦後の日本の学校教育は、戦中に子どもたちへ戦争を煽った事実への反省の歴史であるともいえます。終戦の日、教室で子どもたちの前に立った教師たちは、何を言ったのか、さまざまに語られてきました。
この物語は、戦後十年が経った頃、女性の新任教師が、都会を離れて田舎の小学校へ赴任するところから始まります。戦時中の反省を払拭したいがために説得したかのような担当教授に半ば強制的に促され、新任教師は、多数の兵隊を輩出し続け戦死者を出した農村へと赴任するのです。
赴任した田舎の村には、親を亡くし、疲弊に喘ぐ家族と暮らす「野ウサギのような」子どもたちが跳ね回っていました。彼らはまだ小学校一年生です。また、田舎のしきたりに沿って静かに暮らす人たちがいました。戦前を知る老人もいます。そもそも学校とはどのように始まったのか?今では疑問に思わないような話を語ってくれます。明治政府が建てた立派な校舎が建った日、子どもたちにとっての戦争が始まったのかもしれません。
私は、読み進めて気になりました。主人公のこのオナゴ先生は、「センセ、センセ」と敬われて、この後に及んで、子どもたちに何を望むのだろう?と。その答えが7章「奥の手」から始まるのです。先生は、手探りで、さわやかに、土地の文化を大切にしながら、戦時中に失われていた美しい物語への扉を開け、野山を観察する気持ちでのびのびと歩き、方言を大切にしながらも、今後標準語に困らないようにと国語を教えるのでした。若さを生かしたアイデアで、子どもたちの発想の豊かさを引き出し、花丸をつける描写には、著者の眼差しが重なり、実体験として、ぬくもりある授業が展開されていたことが窺えます。
戦後の人々の苦労は、戦争の記憶を残したまま続いていきます。生徒を見守る教師の立場であればいかほど、その多様なもどかしさを感じたか。著者の言葉には、時代を経ての積年の想いが含まれています。
令和となり、昭和も、平成さえも通り過ぎていこうとしています。振り返れば、よくあんな時代を生きて、と驚きます。実体験として知らなくても、歴史は確かに、一人ひとりに継続して存在している事実。未来に向かう私たちすべてが勇気をもらうものがたりです。
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